平成最後の平成性教育の敗北

22歳の女性が12歳に手を出して逮捕された。

それに対して「羨ましい」という者もいれば、

「犯罪行為」として許さない者もいるし、

「相手の気持ち」というふんわりしたことを言う奴もいる。

 

しかし私は22歳の女と似たような年齢だが、

はっきりと性教育をされたことが少ない。

「夜にはおばけが出てくるから外へ出てはいけない」

という言葉のおばけの部分すら省略されて、

いけないことだという空気だけしか伝えられない。

 

私は性教育の授業にあるあの雰囲気が苦手だ。

体育の前に保健の文字がついた授業は、

先生に監視されながらビデオを黙々と見るもので、

大人からは「子供は性に対して無知で謙虚でなくてはならない」

同級生からは「エッチなことを知っていたらエッチだと馬鹿にされる」

という謎の思い込みか真実かわからないプレッシャーで、

ほぼ凍り付いた状態で授業を行っていた。

 

まともに覚えてるのは生理用ナプキンの使い方。

そしてブラジャーについての話だった。

それも男女で分けての保健体育であったため、

私はその時に男子が何を学んだか知らない。

男はこの時に女性の生理を学べなかったし、

女もこの時に男性の何かを知らされなかったかもしれない。

異性の性については教わることがほとんどなかったのだ。

 

「異性の性」になった途端、無知でなくてはならない。

とくに容姿が恵まれていない女は、

異性に興味を持つことが愚かだとされているので、

さらに付き合い方を知ろうとしなかった。

 

子供にとって性というのは「周りの空気」に支配される。

私は「性的なことに興味があってはいけない」空気が、

息が詰まるほどに受けていたが、

中学になって都会に引っ越した途端に、

「性的なことを知らないなんて馬鹿」の空気になった。

周りのさじ加減で性への感覚は違ってしまう。

性への距離感は空気を読むしか教わっていない。

22歳には何を教えたら防げたのだろうか。